会社概要
会社名 | ジェントルエイド株式会社 |
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代表取締役 | 武川 恵 |
所在地 | 千葉市若葉区若松町959-6 |
設立 | 2021年6月 |
資本金 | 300万円 |
社員数 | 7人(2024年2月時点) |
事業内容 | 訪問看護 |
HP | https://itonami-chiba.com/work/gentle |
支援内容
- 活用した支援
- ・経営、技術(コーディネーター)相談
・創業相談
- 得られた効果
- ・創業計画通りの事業展開
・ソーシャルビジネス支援資金での融資獲得
・銀行に褒められる事業計画の作成
- 課題
- ・創業・資金調達
・初めての従業員雇用
・就業規則や福利厚生制度などの作成
- 解決策
- ・創業相談(無料)
・創業者研修(有料)
・融資審査に向けた事業計画書作成支援(無料)
・就業規則作成支援、福利厚生制度の策定(無料)
「訪問看護で起業したい!」ノウハウゼロ・資金ゼロから3年で従業員7名を抱える事業所へ成長。
ジェントルエイド株式会社は、千葉市若葉区に拠点を構える訪問看護事業所「ふくろう訪問看護ステーション」を運営しています。訪問看護とは、看護師や理学療法士・作業療法士などが利用者の自宅に訪問し、病気や障害に応じた看護・リハビリを行うサービスです。「人生の最期を住み慣れた自宅で過ごしたい。」という声の高まりを受け、訪問看護事業は拡大を続けています。
看護師である代表の武川さんは、祖母が自宅で帰らぬ人となった経験から、訪問看護の重要性を痛感。自ら訪問看護ステーションを立ち上げる決意をします。しかし、起業をするにあたって、何をすればよいか見当もつかない状態でした。とりあえずインターネットで「千葉市 創業計画」と検索し、検索結果に表示された千葉市産業振興財団(以下、「財団」という。)の創業相談を受けたそうです。
-初回の相談は、どのような流れで進みましたか。
「訪問看護で起業」という漠然とした思いはあったものの、実際資金もゼロでしたし、起業と言っても何をすればわからない。貯金もなかったので、資金調達もしなければならない。「お金はないけど社長になりたいです。」と正直に言いました(笑)。
一時期、1円で起業できるって流行ったじゃないですか。それで、「ゼロ円起業ってできるんですか?」と聞きました。ところが、コーディネーターの方に「もう一回きちんと考えましょう。資金ゼロで開業も不可能ではないけれど、開業とともに債務超過になってしまいます。融資を受けるにしても、自分で準備した3倍くらいしか借りられないので、まずは300万円どうにかならないか親御さんに相談してください。」と言われてしまい、その日は次回の予約をして帰宅しました。
両親も私が訪問看護ステーションを立ち上げたい経緯を知っていましたから、誠意を持ってお願いをすると理解してくれ、協力すると言ってくれました。そこで1週間後再度財団に行って、「資本金はなんとかなりそうです。」と伝えると、「じゃあまずは計画を立てましょう。」ということで、初めての創業計画を立てることになりました。
インターネットの創業支援サイトや起業ノウハウが載っているサイトなど、参考になる情報を教えてもらい、自分で計画を立ててみたのですが、計算するたびに違う数字が出て…。初めは収支計画が10個くらいできてしまいました(笑)。
コーディネータ―への相談と並行して、全5回の創業者研修を受けて創業計画をブラッシュアップしつつ、日本政策金融(以下、「公庫」という。)への融資面接の準備も進めていきました。

雇用の問題を乗り越え、ソーシャルビジネス支援資金で融資獲得!
-創業計画や資金繰りの他に、創業前に苦労したことはありますか?
福祉事業ならではの「人員配置」の壁がありました。福祉事業は、適切なサービスを提供するために、法律で最低限配置するスタッフの人数が定められています。訪問看護事業は、常勤換算で2.5人以上の有資格者の配置義務があります。開業するには、私を除いてあと2人雇用する必要があったのです。
元同僚などを誘い、1人は一緒に働いてくれることになりましたが、あと1人がなかなか説得できない状態のまま、市の許認可を受ける期限が迫ってきました。焦りもあり、コーディネーターにポロっと、「起業辞めようかな。」と言ったんです。そうしたら、「自分で行動を起こして、財団に来て、両親を説得して、ここで話をした気持ちを忘れちゃったの?」と、1時間半くらい諭してくれて。おかげで、「もう1回話してみよう!」という気力が湧き、説得に成功。無事にうちに来てくれることになりました。
また、許認可を受けるにあたり、通常は従業員10人未満の会社は作成義務がない就業規則も用意する必要があり、社労士資格を持つコーディネーターに相談しながら作りました。
そうして、無事に市の許認可も降り、残るは融資面談となりました。
-融資面談の前日も大変だったとお伺いしました。
そうなんです、どうしても計画書の数字が合わず、コーディネーターと一緒に一日中計算したことを今でも鮮明に覚えています。「もう本番で説明するしかないな。」と。
迎えた当日、とても緊張しましたが、公庫の担当者が「財団の支援を継続的に受けているんですね。」と、専門家支援を受けていることを前向きにとらえてくれたようで、少し落ち着いて対応することができました。
正直あまり自信がなかったのですが、結果的には金利の低いソーシャルビジネス支援資金で融資を受けられることになりました。「これで本当に開業できるんだ!」と少しずつ実感が湧いていきましたね。
法人設立時も、法人登記に必要な書類や手続きを、親身にアドバイスをいただきました。おかげで、司法書士に依頼せず、自分で手続きを行うことができました。自分一人では決して法人設立までたどり着けなかったと思います。

ワンストップの経営支援。福利厚生制度構築にも財団のアドバイスが有効だった。
-法人設立後は、どのような支援を受けましたか?
2期目が終わるまでは毎月、もしくは隔月でコーディネーターが訪問してくれて、計画通りに売上が立っているか、従業員の雇用や給与計算など、財務労務や経営周り全般のアドバイスをしてくれました。私にとっては顧問のような感覚ですね。
3期目に入る頃に、「そろそろ落ち着いたでしょう。」ということで、訪問が3カ月に1回になって、徐々に半年に1回になりました。その間も、わからないことはメールや電話で聞きながら、自分でできるように知識をつけていきました。3期中に社労士を紹介いただき、現在は顧問社労士がついています。税理士も同じ頃に一緒にインターネットで探しました。
だんだんと事業が軌道に乗っていき、従業員の採用や定着も課題になってきたので、福利厚生についてもアドバイスをもらいました。具体的には、資格やオンコールなどの手当を充実させることや、確定拠出年金などの従業員の資産運用、他県を参考にした教育制度などです。
訪問看護業界はまだ歴史が浅く、看護師の多くが訪問看護ステーションで働くことに不安を持っているんですよ。その不安やネガティブなイメージを払しょくしたいと思い、福利厚生には力を入れています。当社で過ごす時間の長短に関わらず、「あの会社に入ってよかったな。」と思い出してもらえたら嬉しいですし、訪問看護業界でもそういう取り組みを行っている会社があるよ、というのを知ってもらいたいですね。
また、看護師と腰痛は切っても切れない関係なので、最近は腰痛予防のパワーアシストスーツの導入を検討しています。整骨院などに通院する際の補助も、福利厚生制度として取り入れ、こちらも規程の作成について支援していただきました。

毎期ごとの事業計画を自分で立てられるように。銀行からも「きれいな収支計画ですね。」と褒められる出来栄え。
-創業準備から法人設立後の運用まで、ワンストップで財団の支援を受けていますが、ご自身が特に成長したと感じることはありますか。
きちんとした事業計画が一人で立てられるようになったことです。職業柄、起業をするまでは数字に触れる機会があまりなく、計算に苦手意識がありました。どちらかというと、数値に現れない患者さんの異変を察知して適切な処置をするという、感覚的な仕事の仕方が得意でした。
でも、創業計画を作ることになって、サポートを受けながら何度も何度も作り直して、融資面談が終わって…。実際に創業した後も、定期的に計画書を見直して、コーディネーターと一緒に整えていきました。何度もやっているうちに、毎期ごとの事業計画を一人で立てられるようになり、売上が落ち込む要因や、人を雇う予定だからこれだけ利益が減るな、など、なんとなくの年間収支が見えてくるようになりました。先日、銀行から「とてもきれいな収支計画ですね。」と褒められた時は嬉しかったですね。
従業員も7名になり、1つの訪問看護ステーションとしては区切りがついたと思っています。訪問看護の需要は高まる一方なので、2拠点目も視野に入れています。こう考えられるのも、自分で数字を見られるようになったことが大きいです。
「ジェントルエイド」って、日本語にすると「穏やかな支援」なんですよね。自分の力や、会社の力を使って、一人でも多くの人生の「穏やかな時間」を迎えられるお手伝いができればと思っています。
-最後に、財団にこれからも支援して欲しいことなどがあれば教えてください。
私はもう本当にお世話になっているので、これ以上…という気持ちはあるのですが、私の中の財団のイメージって「よろず屋」なんですよ。市民や事業者が「こういうことをやりたい、何かしたい。」と思った時に、気軽に相談できる場所であって欲しいと思っています。

-ご協力ありがとうございました。
取材協力:株式会社キウ(Kiu)