会社概要

| 会社名 | WellMent株式会社 |
|---|---|
| 代表取締役CEO | 村本 充 |
| 所在地 | 千葉市美浜区若葉3-1-18 幕張ベイパーククロスレジデンスS2-1 |
| 設立 | 2024年3月 |
| 資本金 | 100万円 |
| 社員数 | 3人(2026年2月時点) |
| 事業内容 | AI技術を活用したサービスの開発・販売・運用 等 |
| HP | https://www.wellment.co.jp/ |
支援内容
- 活用した支援
- ・経営、技術(コーディネーター)相談 等
- 得られた効果
- ・千葉市トライアル発注認定
・『ベンチャー・カップCHIBA』AI・IoT賞受賞
・ICT活用等生産性向上支援事業採択
- 課題
- ・資金調達
・千葉地域での販路拡大
・経営に関する全体的な支援
- 解決策
- ・専門家紹介(無料)
・コーディネーター伴走支援(無料)
・千葉県内企業の紹介(無料)
・各種申請サポート(無料) 等
千葉市で“目立つ”戦略が追い風に。生成AIを活用した新規事業への挑戦
WellMent株式会社は、生成AIと映像技術を掛け合わせたプラットフォーム開発に取り組む、千葉市発のスタートアップです。
映像広告の“自分ごと化”を実現するサービスや、日本語動画を話者本人の声で、翻訳言語に合わせて自然な口の動きで多言語化する翻訳サービスなど、映像領域を中心に複数のプロダクトを展開しています。
同社の代表取締役CEOを務めるのは、村本 充氏。海外製の生成AIが急速に進化する中で、最新技術を柔軟に取り込みながら「人の行動変容」や「ウェルビーイング(身体の健康だけでなく、社会的なつながりや自己実現を含む広い幸福)」の実現を見据えた事業づくりを進めています。
創業にあたり、東京都で勝負するか、千葉市で挑戦するか最後まで迷っていました。しかし最終的に千葉市を選び、千葉市産業振興財団(以下、財団と呼ぶ)のコーディネーターの伴走支援を受けながら、補助金獲得・ビジネスコンテスト等への挑戦を重ね、着実に実績を積み上げてきました。
今回は、事業の概要と今後の展望、そして千葉市で創業したからこそ得られた効果や、財団の伴走支援について詳しく伺いました。
-改めて、事業内容を詳しく教えてください。
当社は生成AIを活用した新しいプラットフォームとなるプロダクト開発をしています。海外の技術進歩が早いので、必要に応じて海外製品とも連携しながら、主に“映像系”のサービスをつくっています。事業内容は現在五つまで増えましたが、代表的なものを三つ紹介します。
まず一つ目が「AIバーチャル体験広告システム」です。既存の動画広告の登場人物が視聴者本人に入れ替わる仕組みで、フェイススワップ(AI技術を用いて人物の顔部分のみを別の画像に置き換える映像加工技術)の技術などを使います。広告主である企業の最大の課題として、動画広告の9割はスキップされてしまうことが挙げられます。登場人物が「自分」なら最後まで見たくなり、伝えたい内容が視聴者に届けられるのではと考えています。
また、視聴者側にもウェルビーイングにつながるというメリットがあります。特にZ世代は、「やりたいこと」や「なりたい自分」を見つけられない人が多いと言われており、映像としてさまざまな自分が映し出されることで、「こうなりたいかも」のヒントを掴んでもらいたいという意図があります。
二つ目は「AI多言語翻訳サービス」です。日本語の動画を多言語に変換して、本人の声のまま、口の動きも合わせて「本人がその言語で話しているように見せる」サービスです。海外展開したい企業、特に中小企業を支援したい思いがあります。大企業は翻訳にコストをかけられますが、中小企業は数十万円かけるのも負担になりやすいので、数万円単位で提供できるサービス提供をを目指しています。現在は30カ国・40言語対応の形で進めていますが、150言語くらいまで対応可能になっています。
この多言語翻訳サービスは、令和6年度「千葉市トライアル発注認定事業」に認定されました。運用していく中で、動画の受け渡しや修正のやり取りに時間がかかる課題も見えてきたので、ユーザーが自分でアップロードして、翻訳結果をダウンロードし、修正して再投入できるような“ユーザーセルフ型のポータルサイト”の構築を進めています。決済も含めて24時間365日回る状態にしたいと考えています。
さらに、三つ目として「AIアバタートーク」も進めています。SNSのショート動画を継続的に出すニーズが高まる中で、元動画が一本あれば、本人のAIアバターをつくってテキスト入力でしゃべらせるなど、発信者の生産性と新しい付加価値をもたらすことを狙っています。実際に自分自身がAIキャスターになり、AIニュースをSNS配信する実験も行いました。こちらは、令和7年度のトライアル発注認定事業にて認定されました。
そのほか、観光PR領域で多言語化と“体験の自分ごと化”を組み合わせる「AIバーチャルツーリズム」、そして現在は、AIキャリアコンサルタントが対話で価値観を引き出し、理想の姿を映像化して行動を伴走する「ウェルビーイングアプリ」も検討しています。将来的には、現在はヘイトや差別など、ネガティブなイメージのあるSNSを、応援し励まし合えるポータルサイトを作ることで、ポジティブなSNSサイトを構築していきたいと考えています。
東京都か千葉市で最後まで悩んだ創業の地。都の後押しもあり千葉市を選択
-千葉市産業振興財団の支援を受けたキッカケを教えてください。
創業前に「東京都で創業するか、千葉市で創業するか」で迷っていました。最初に行ったのは、東京都のスタートアップの支援拠点でした。そこで「千葉市はスタートアップ支援に力を入れているから、千葉のほうがいいのでは」と背中を押される形もあり、千葉市のスタートアップ支援の窓口に連絡を取り、財団の方をご紹介いただきました。
東京都はスタートアップが多く、支援は厚い一方で“埋もれてしまう”可能性もあります。その点、千葉市はスタートアップの数が東京都ほど多くないので、行政や財団がスタートアップを積極的に支援してくれるのではと期待し、千葉市で起業することを決めました。結果的に、就業先企業に籍を置いたまま起業することを支援する、経済産業省の出向起業制度を利用して創業した千葉県初のスタートアップとなりました。
-千葉市で創業してよかった、と感じる点はありますか?
千葉市で創業したからこそ得られた効果は大きいと感じています。コーディネーターとの面談で、初年度は「とにかく目立つ」という戦略を立てました。県や市が開催するビジネスコンテストに出たり、展示会に出展したりと、露出につながる動きを増やしました。
結果として、受賞や露出が積み重なり、社名で検索すると私も把握していない新聞記事が出てくるという状態になりました。東京都は挑戦者が多い分、よほど強い話題や資金がないと注目を得られませんが、千葉市では「地域で挑戦しているスタートアップ」として見てもらえる機会が生まれやすかったと感じます。最初の“目立つ作戦”がうまくいった実感がありますね。
さらに、千葉市や財団に地域の大学や企業をご紹介いただき、千葉大学との共同研究にもつながりました。私たちのAIバーチャル体験サービスの価値は「本当に行動変容が起きるのか?」を問われがちなので、学術的に検証し、エビデンスを積み上げることが重要だと考えています。千葉大学では学生に協力いただき、自分が映像の中に登場する体験を継続的に提供し、その変化を分析する取り組みを進めています。
千葉市で創業したことは、単に所在地の話ではなく、「目立つ機会」「つながり」「検証環境」など、複数の要素が重なって前進を加速させた、と感じています。

ベンチャー・カップCHIBA授賞式
「申請」「締切」「投資家」という現実と、伴走支援の価値
-これまでに壁や課題はありましたか?
スタートアップは、結局「新しいプラットフォームをつくるには投資が必要」という現実があり、出資してくれる人を探さないといけません。プロダクト開発は特にコストがかかるので、そこをどう乗り越えるかは常に課題です。
投資家が見るところは「将来有望か」の一点のみです。ビジネスコンテストやVCとの対話で必ず問われるのが「その行動変容は本当に起きるのか」という点で、自分たちの仮説だけでは弱いので、大学との共同研究で検証しています。逆に、実証ができれば、私たちの可能性は限りなく広がると思っています。
そして、実務面で大きいのは「申請」と「締切」です。財団の支援を受け始めて特に感じたのは、制度活用やビジネスコンテストへの挑戦を“タイミングよく重ねていく”動きができたことです。締切があるものを逃すと、次は1年後になってしまうこともある。そこを、財団のコーディネーターが制度情報や期限感を共有しながら伴走してくれて、大変助かりました。
申請書のチェックもありがたかったですね。申請書はAIで文章を作れば良いわけではなく、行政の審査側が理解しやすい書き方をする必要があります。国・県・市・財団などにより“読み方”や“癖”が微妙に違う中で、「こう書くと伝わりやすい」「これは伝わりにくい」といった観点で、申請書を整える支援を受けられたことは大きかったです。
トライアル発注認定、制度活用、開発の次の一手へ
-財団の支援を受けて、具体的にどのような成果がありましたか?
一つは、千葉市トライアル発注認定事業等を通じて、プロダクトを実際に使ってもらう機会が増えたことです。AI多言語翻訳サービスでは、無料トライアルで複数社に試してもらい、やり取りに時間がかかる等の運用上のボトルネックが明確になりました。そこから「ユーザーセルフで完結できるポータルが必要だ」という次の開発テーマに接続できています。
もう一つは、今やりたいことをコーディネーターに伝えると、それに使える制度を紹介してもらえるなど、制度活用を“点”で終わらせず、“次の手”につなげやすくなったことです。締切から逆算し、いつまでにどこまで作るか、チェックの時間も含めて進める運用ができたことで、挑戦回数が増え、結果として露出や実績にもつながっていったと思っています。
財団のコーディネーターとの面談は、必要なタイミングで実施しつつ、基本は「期限があるものを逃さない」ことを軸に進めていました。
-今後、特に注力したいことは何でしょうか?
直近で重要なのは、AI多言語翻訳サービスのユーザーセルフ型ポータルサイトを完成させ、きちんと売上を確保しながらプロダクトを磨くことです。人手を介して一週間かかっていたものが、ユーザー自らが使えるようになればスピードは大きく変わります。中小企業が海外展開する際の“最初の一歩”のハードルを下げたいと思っています。
同時に、AIアバタートークや、AIバーチャル体験広告の検証も進めます。特に行動変容の実証は事業成長の鍵なので、共同研究の成果を積み上げていきたいです。
中長期では、AIキャリアコンサルタントが対話で言語化を助け、理想の姿を映像化し、日々のコーチングを伴走するWウェルビーイング領域のサービス構想を進めたいと考えています。現在、キャリアコンサルタントの協力を得ながら、まずは私が被験者となって開発を進めています。AIだけでは足りない部分を人のコーチングで補う形や、応援し合えるコミュニティの形も含め、最終的には大きな成長曲線を描ける事業にしていきたいですね。
-最後に、財団にこれからも支援して欲しいことなどがあれば教えてください。
一番は、企業同士が協力し合える状況をつくる支援がもっと広がると良い、という点です。AIのような領域は「何ができるか」が伝わりにくいので、まず理解してもらう支援や、企業同士をつないで共創が起きる支援が増えると、成果が出やすくなると思います。
財団は“間を取り持つ”立場だからこそ、オープンイノベーションのプラットフォームになれる可能性がある。支援の成功事例が増えることで、それがスタンダードになっていく。そういう流れを一緒につくっていきたい気持ちがあります。
また、制度活用の支援は「情報提供」だけではなく、期限・工程・申請書の整え方まで含めた伴走があると、事業者は動きやすくなります。私自身、その伴走によって挑戦回数を増やせた実感があるので、これからの事業者にとっても価値が高いと思います。

-ご協力ありがとうございました。
取材協力:株式会社キウ(Kiu)



