(財)千葉市産業振興財団が千葉市経済の発展に寄与することを目的に将来性のある企業を創出するために、平成14年度から開催している事業で、事業者、創業者から新規性・独自性に富み実現性のある事業プランや技術を公募し、優秀なものには賞金を授与するとともに、当財団の各種支援事業を積極的に活用して事業化を促進します。

平成19年10月10日、"千葉市ビジネス支援センターオープン記念・第6回『ベンチャー・カップCHIBA』ビジネスプラン発表会"が開催され、18の応募企業から第1次審査(書類審査)および第2次審査(プレゼンテーションと質疑応答)を勝ち抜いた5社がプレゼンテーションを行いました。
会場には、ベンチャーキャピタル、銀行、証券会社をはじめとして、各種企業等の関係者150人が、投資先やビジネスパートナーを求めて集まりました。
審査の結果、グランプリには株式会社アミンファーマ研究所(代表取締役社長 五十嵐一衛)が選ばれ、当財団理事長より表彰の楯と副賞100万円が授与されました。

※敬称略

企業名・代表者名ビジネスプラン名所在地等
グランプリ
(副賞100万円)
株式会社アミンファーマ研究所
代表取締役社長: 五十嵐 一衛
脳梗塞リスク判定支援サービス事業〒260-0856
千葉市中央区亥鼻1-8-1
TEL:043-226-2871
優秀賞
(副賞10万円)
日環科学株式会社
代表取締役: 宮本 浩邦
新規バイオパターンセンシング技術を活用した畜産、特に養豚農家向けの生産品質評価サービス〒260-0034
千葉市中央区汐見丘町11-1
TEL:043-302-2322
http://www.je-s.com/
株式会社西尾
代表取締役: 西尾 博次
歯磨きサロンシステム「クリーン・クリーン」〒260-0012
千葉市中央区本町3-3-3
TEL:043-224-3231
http://www.cleanclean.jp/
エレコン科学株式会社
代表取締役: 井戸 幸吉
3交差超音波蛋白質活性化装置の製造・販売〒264-0031
千葉市若葉区愛生町147-18
TEL:043-255-1632
株式会社光陽オート
代表取締役: 宮岸 清治
中小の自動車塗装・板金工場から排出されるVOC(揮発性有機化合物)及び臭気の除去システムの製造・販売及び専用薬剤の販売〒264-0017
千葉市若葉区加曽利町1838-14
TEL:043-234-6111

各企業のプラン概要

株式会社アミンファーマ研究所

『脳梗塞リスク判定支援サービス事業』

弊社が日本油脂(株)、(株)フューエンスと共同で開発したバイオマーカーを使い、被験者から採取した血液中のアクロレインという物質の量を測定することで「脳梗塞リスク判定支援サービス」を展開します。このバイオマーカーは、半身不随、半身麻痺、しびれ、感覚の低下、手足の運動障害、意識・言語障害等の脳梗塞の自覚症状を伴わない無症候性脳梗塞患者を精度良く検出できる特徴を持つマーカーです。(無症候性脳梗塞は脳卒中の高危険群である。(2003年脳ドックガイドより))。健康診断施設等において、弊社の提供するサービスを用いて無症候性脳梗塞を検出することで脳梗塞を未病のうちに発見し、医師による健康マネジメントを通じて被験者の健康増進を図ることを目的とします。


日環科学株式会社

『新規バイオパターンセンシング技術を活用した畜産、特に養豚農家向けの生産品質評価サービス』

食の安全に対する危機意識の高揚から、畜産業界における受託分析ニーズも日を追って高まってきていますが、既存の分析サービスは病因性微生物や有害物質対象の「負の要素の検証」が中心で、健全な生産環境を担保するための「生産品質そのものを評価する」サービスはこれまで存在し得ませんでした。そこで我々は、動物の糞便や飼育環境中の、微生物系全体の遺伝情報と物質組成の分析情報を生産品質センサーとして利用し、直接的な農場品質の比較・評価を実現する、画期的な「バイオパターンセンシング技術」を開発しました。この技術によってさまざまな農場の「バイオパターン」の比較が可能となり、病気の発生しにくい生育状態や環境条件が明確化されることで、薬剤投与に頼らない、安全・安心な畜産の実現が期待されます。


株式会社西尾

『歯磨きサロンシステム「クリーン・クリーン」』

当社の提供するサービスは"耳鼻科"と"みみくりん""整形外科"と"クイックマッサージ"、"皮膚科"と"エステ"のように、"医療行為"と"手軽な予防ケア"の関係のような治療ではない快適なケア空間を提供することです。具体的には歯科医院の加盟形式として「歯磨きサロン クリーン・クリーン」を歯科医院内の別スペースもしくは別棟に造り、そこで歯のマッサージなどの口腔内疾患予防であるマウスクリーニングやフッ素塗布などを、保険証なし、予約なし、気楽で心地よい雰囲気の中で提供します。当社は治療しない歯みがきサロンシステムのコンサルト及び運営を行い、またこのシステムの各種雑誌広告やテレビCMを行い各加盟サロンに集客と集患を同時に促します。「奇跡の歯ぶらし」はクリーンクリーン加盟サロンのみの販売。


エレコン科学株式会社

『3交差超音波蛋白質活性化装置の製造・販売』

3交差超音波蛋白質自動活性化装置は、全自動でプリオンの増幅を行う装置です。牛のBSE(牛海綿状脳症)や人間が感染するクロイツフェルトヤコブ゙病などの「プリオン病」は長い期間に蓄積して初期段階では微量のため発見する事が出来ません。そこで初期に発見するためにはDNA増幅装置(PCR)のように増やすための装置の開発が急がれています。日本以外の世界の研究の現状はハムスターによる異常プリオンの増幅に成功していますがマウス・牛・人間では成功しておりません。弊社は(独)動物衛生研究所プリオンセンターと共同開発を行っております現状は、世界初マウスの増幅に成功し現在牛のBSEに挑戦中です。また東北大学ではクロイツフェルトヤコブ病の新薬の開発、岐阜大学においてプリオン病抑制物質の発見に弊社製品が用いてられております。


株式会社光陽オート

『中小の自動車塗装・板金工場から排出されるVOC(揮発性有機化合物)及び臭気の除去システムの製造・販売及び専用薬剤の販売』

0「大気汚染防止改正法」の施行に伴い塗料/シンナーに含まれるVOCの大気中への放出が厳しく制限されることとなりました。現状では排出量の多い大手工場が規制対象になりますが、将来は中小の塗装・板金工場への規制が強化されると考えております。また中小の塗装・板金工場は市街地での立地が多く、規制対象外でも近隣住民からの臭気の苦情などの問題があり、自主的な対応を迫られているケースが増えており、この状況を踏まえ、当社は、水溶性の両性超高分子化合物を主剤とした専用薬剤の噴霧ミストでVOCを効率的に捕捉し除去できる技術と製品を開発・製造しているエスポ化学(株)と共同で、設備費及びランニングコストの安い中小の塗装・板金工場向けの「VOC除去システム」を開発し、事業展開を開始しました。


千葉市ビジネス支援センターポープン記念・
第6回『ベンチャーカップCHIBA』ビジネスプラン発表会 講評

審査委員会副委員長
プロサイド株式会社 代表取締役社長 椎名 堯慶 氏

ただいまご紹介にあずかりました椎名でございます。今日は大変高い席から僭越ながら、今日の素晴らしいご提案について、ご報告させていただきます。
まず今日は、千葉市のビジネス支援センターのオープニング、そして第6回の『ベンチャー・カップCHIBA』開催といったところで、大変優秀なご成績をおさめられました皆様に、心からお祝いを申し上げます。おめでとうございます。
審査の主なポイントでございますが、第1回目は書類審査、2回、3回と、今日が3回目でございますけれども、プレゼンをやっていただきまして、回を積むごとに段々すばらしいプレゼンになってきまして、審査員のほうも、これが1番、2番、確かに大変こだわった分野が多いものですから、評点を付けることが、皆さん大変ご苦労されておられました。そういった中で、厳正な審査、評価をさせていただき、そこから採点を行いまして、今日のグランプリを株式会社アミンファーマ研究所さんと決定させていただきました。審査員の皆様も大変難しい審査をしていただいたと考えております。審査の基準でございますけれども、ひとつは事業としての可能性があるかどうか、将来、今後、立派な事業としてやっていけるだろうかといった点と、事業の新規性とか、独創性とか、こういった点を中心にして評価をさせていただいたわけでございます。
それでは、5社の皆様のご提案に対しまして、どのように委員が審査を行ったかという点を踏まえて、講評をさせていただきます。私の全く個人的な感想ですが、どの事業プランも非常にビジネスの可能性という点で、大変高いものがあるなと思いました。優勝、グランプリを取られましたアミンファーマ研究所は、これは新しい事業を起こされるという点で、非常に目立ったというわけでございます。そのほかの優秀賞の方々も、自分の事業の中から、新しい革新的な次のビジネスを見つけていこうと、非常に強い意欲でご発表されたと思います。
それでは、株式会社アミンファーマ研究所の脳梗塞リスク判定支援サービス事業です。これは、まだ未発、未疾というのですかね、病気になる前に脳梗塞を判定するマーカーを発見されて、これをより一層高い精度まで、95%、97%まで、その判定を成功させるという、すばらしいベンチャー風な新しいビジネスモデルだと思います。特に世界でも初といわれるこのマーカーは、千葉県初のベンチャーとして、成功していくのではないか、と委員全員の意見でございます。ご存じのように高齢化社会の中でも、脳梗塞、心臓病というような成人病というのが、非常に大きな問題であると私どもも認識しております。こういった事実の中で、先生が今回なされたご提案は、臨床試験もあと1年ぐらいで許可がおりるだろうと思います。私どもも、初めはこういうものは、口から体の中に入れるものではないので、その様な臨床試験などいるのか、というような疑問もあったわけでございますが、やはり必要だと。そういう厳しい審査を経て、立派な、いわゆる診断システムとして完成されていくと考えられます。そういう技術的な裏付けもしっかりされておりますし、先生もご発表なされましたように、マーケティングも巨大で、やっぱり一千万人、日本だけでもそういった検査対象があります。世界的に見たら、その何十倍か、六十倍くらいはあるのではないかな、というふうに思うわけでございます。そういった市場も非常に大きな広がり、可能性があり、そういった判断と同時に、先生が示されました経費、それがどういう風に経済的に運営されていくのか、こういった点でも、非常に確実で可能性がある提案でした。そういうことが優勝、今回グランプリを取られた、主たる評価でございます。
次に日環科学株式会社さんでございますが、新しいバイオセンシング技術をお使いになって、それにコンピュータ技術を加えて、畜産業の新しい生産品質評価を行われた。こういった評価システムでございますが、昨今、中国の食品問題とか、いろいろございました中で、食品の安全性というのは大変重要であると、審査員の先生皆様が、この点に注目されておられました。畜産、特に養豚経営という面で、やはりコストがいろいろ問題である。飼料の問題、薬の問題、こういったことを、約2分の1といいましょうか、かなりの額で抑えることができるということです。そのために、各種の製品品質を予測するためのデータベースを作っていただく、そういった点が大変注目されたわけでございます。ただ、このデータベースの精度というのが、これから非常に重要になってくる。これが商売として成功するか、否かを決める分岐点になるのかな、というのが意見でございます。今後の千葉県のバイオベンチャーとして、大成功されることを心から期待しておるわけでございます。
次に、株式会社西尾さんの歯磨きサロンのご発表でございますけれども、これは今まで本当になかったのが不思議だなと思います。こんな商売、絶対やったらもうかるだろうなと、こういう直観的な印象があり、これは審査員の方々に注目されたところでございます。クイックマッサージみたいな、いわゆるミニマムな歯のお掃除屋さんみたいなもので、非常におもしろかったのです。これは将来の事業の可能性は、高いのではないか。特に少ない資本ではじめられる。それから歯科衛生士の方々がたくさんおられる。そういう中で、この事業を独占的に展開できれば、素晴らしいビジネスになるのではなかろうかという意見がありました。ただ独占するためにはどうしたらいいのか、資本的な障壁はそうはなさそうですね。それから、これに対して先行者メリットが今ならあるのかなと思います。どれだけ市場を早く、獲得できるのか、こうした点が非常に注目されるわけです。是非とも日本中の歯科医の方々と連携し、立派な商売に育てていただければいいかな、とこういうように思っているわけです。
次にエレコン科学株式会社さんです。ちょっと難しいのですけれど、3方向から超音波をあてて、タンパク質を活性化する。これはご説明にありましたように、大学の先生が、細胞破壊の実験の中から、発見されたという、一種の逆転物語だと私は思っているのです。こういった先生方との共同で新製品を開発する、世界的にもこの商品は重要な製品だというふうに私も委員も考えています。したがいまして、今後、エレコン科学さんのほうで、どのようにビジネスを拡大していくのか、新しい販路をどうやって拡大していくのか、今まで、社長様の個人的なチャンネルといったものに頼っているところがあるわけでございまして、今後そういうビジネス拡大のための方法論といったものが大変重要ではないかなと思います。今後一層ですね、すばらしい発明、発見をいろんな形でやっていただいて、世界に技術を発信していただいて、BSEをはじめ、いろんな病原菌の問題解決をしていただくと、非常にうれしいというふうに思うわけでございます。
最後に、株式会社光陽オートさんは、板金塗装、こういったようなビジネスの分野でも大気汚染防止法とか、いろんな法律改正のもとで、やはりVOC、あるいは臭いをどうやって解決するのか、これを御社で考えられたことがすばらしい。東工大の先生、エスポ化学と共同研究をして、こういうモデルで完成されたことが、素晴らしい業績だなというふうに思っているわけです。やっぱり必要は発明の母と、こういうことでございますけれども、自分たちが本当に困っていることを自分たちの手で解決していく、こういった中から素晴らし発明、新事業、といったものが生まれていくのだな、と感じたわけでございます。自分で困っていることを解決するということは、つまり、既存の製品では、とてもできないようなコストパフォーマンスで、この製品が買えるのではないか、そういう説明がありました。数千万のものが二、三百万。月々の経費にのせるコストも随分安く抑えることができるようでございます。こういったことで、まず加盟する損保会社から塗装、板金の仕事を受注するグループの500社に販売していくという話がありました。確実に、堅実にですね、企業が発展していく、素晴らしいビジネスの可能性を秘めているというように委員の皆が理解しておるわけでございます。日本も環境破壊というのは、大変大きな問題でありまして、現在も周辺で大気のいろいろなことをやっておられますけれども、そうした大きな流れの中で、私は大きなビジネスに育っていくのではないかなと、思うわけでございます。
最後に、本日受賞された皆様のますますのご活躍ご健闘を祈念いたしまして、私たちの講評とさせていただきます。ありがとうございました。


○1次審査及び2次審査を担当
(株)千葉銀行 執行役員 営業開発部長:丸島 新七
野村證券(株) 千葉支店 支店長 :久保田 光男
千葉産業人クラブ副理事長事務局長 :宇居 章
(株) ジャフコ第四投資本部投資一部長:大関 均
オリックス・キャピタル (株) :原戸 豊太
投資営業部グループリーダー
トーマツベンチャーサポート (株) 取締役:野崎 茂男
千葉大学 産学連携・知的財産機構:菱田 誠
産学連携統括推進部長
千葉工業大学 工学部 教授:南 和一郎
千葉産業人クラブ 副理事長・事務局長:縄岡 正英
(財) 千葉市産業振興財団副理事長 :鈴木 啓司

○2次審査及び発表会での審査を担当
千葉産業人クラブ会長:伊藤 潔
千葉商工会議所 会頭 :千葉 滋胤
プロサイド(株) 代表取締役社長 :椎名 堯慶
公認会計士前原事務所 代表 :前原 東二
千葉大学工学部教授:吉川 明彦
(財)千葉市産業振興財団理事長:浅井 法久
     (氏名あいうえお順、敬称略)

共催・後援団体

【共催】ベンチャークラブちば
【後援】経済産業省関東経済産業局、千葉県、千葉市、千葉商工会議所、千葉産業人クラブ、千葉県経済同友会、千葉大学、千葉工業大学、東京情報大学、千葉経済大学、淑徳大学、株式会社日本政策金融公庫千葉支店、独立行政法人高齢・障害・求職者雇用支援機構千葉支部千葉職業能力開発促進センター、千葉県信用保証協会、公益財団法人千葉県産業振興センター、一般社団法人千葉県商工会議所連合会、千葉県商工会連合会、千葉県中小企業団体中央会、一般社団法人千葉県発明協会、公益社団法人千葉県情報サービス産業協会、公益財団法人ひまわりベンチャー育成基金、JFEテクノリサーチ株式会社