千葉市から将来性のある企業を創出するために、(財) 千葉市産業振興財団が平成14年度から開催している事業で、事業者、創業者の独創的な事業プランや技術を公募し、優秀なものには賞金を授与するとともに、当財団の各種支援事業により事業化を図ります。

平成17年10月13日、“第4回『ベンチャー・カップCHIBA』ビジネスプラン発表会”が開催され、26の応募企業から第1次審査 (書類審査) および第2次審査 (プレゼンテーションと質疑応答) を勝ち抜いた5社がプレゼンテーションを行いました。
会場には、ベンチャーキャピタル、銀行、証券会社をはじめとして、各種企業等の関係者195人が、投資先やビジネスパートナーを求めて集まりました。
発表会での審査の結果、グランプリには株式会社アイオム (代表取締役 石井一行) が選ばれ、当財団理事長の太田 宏より表彰の楯と副賞100万円が授与されました。

※敬称略

企業名・代表者名ビジネスプラン名所在地等
グランプリ
(副賞100万円)
株式会社アイオム
代表取締役: 石井 一行
もみ殻バイオテクノロジー〒214-0001
川崎市多摩区菅1-6-5 リンデンハイム203
TEL:044-944-1061
http://www.ino-bio.co.jp
優秀賞
(副賞10万円)
ヨギ・コミュニケーションズ有限会社
代表取締役: 竹内 要二
インターネット電話システム
『CD-IP電話』
〒260-0026
千葉市中央区千葉港4‐3千葉県経営者会館5F‐507
TEL:043-247-2662
http://www.yogicomm.co.jp/
株式会社サンテック
代表取締役: 野村 悦雄
ガラス用光触媒溶液開発〒262-0012
千葉市花見川区千種町351-23
TEL:043-286-2960
http://www.sun-coat.jp/
株式会社アトラス
代表取締役: 有田 圭介
電場指紋照合法FSMによる大口自家発電施設の革新的保全・安全管理〒260-0015
千葉市中央区富士見2-7-5富士見ハイネスビル10F
TEL:043-202-7740
http://www.atlas-ndt.co.jp/
株式会社アトラテックジャパン
代表取締役: 河野 和夫
液晶バックライト用インバータ制御用LSIと1入力多出力型トランスの製造販売〒261-7114
千葉市美浜区中瀬2-6WBGマリブイースト14F JBC内7号室
TEL:043-213-5577
http://www.atratech.com/

各企業のプラン概要

株式会社アイオム

『もみ殻バイオテクノロジー』

もみ殻は大事な米を守る鎧のようなもので、繊維質が多く土にかえして肥料にしようとしても、簡単には腐らず大半が焼却処分されています。弊社は、このもみ殻を独自の酵素等により発酵させ、短期間に肥料化させる技術を開発しました。このもみ殻発酵肥料は植物の成長に必要な数々の養分を含み、特にその植物系ケイ酸による効果で作物の甘味が増す、病害虫に強くなるなどの効果とともに、発酵による微生物の働きで土壌改良の効果もあります。このもみ殻発酵肥料の製造販売、製造装置と分解酵素の販売をとおして、地域農業に貢献していきたいと考えています。


ヨギ・コミュニケーションズ有限会社

『インターネット電話システム「CD-IP電話」』

いま、インターネット回線を使い通常の電話回線より低料金で通話のできるIP電話が、企業や家庭で急速に普及してきています。弊社の開発した“CD-IP電話”はインターネットが利用可能な状態にあれば、世界中どこにあるパソコンでも、この“CD”をセットして電源を入れること (CDブート方式) により、IP電話として起動します。通常のパソコン機能 (Windows) は起動させないため、ウィルスの被害や情報漏洩の心配もありません。通信販売のコールセンター向け、インターネットを利用した教育向け、企業内部向けの通話システムとして月額制の低料金で利用してもらう事業プランを計画しています。


株式会社サンテック

『ガラス用光触媒溶液開発』

二酸化チタン光触媒は、太陽光や蛍光灯に含む紫外線のパワーによる有機物の分解作用、超親水作用の効果によって、環境汚染物質の分解、防汚などに広く使用されつつあります。
弊社は光触媒コーティング溶剤とその施工法を開発し、ビルのメンテナンス費用の低減に成功しています。今回の提案はガラス用光触媒コーティング溶剤の開発と施工法で、従来の同種製品の問題であった“透明性”、“塗布面の硬度”、“分解能”などの欠点を改善したものです。開発は千葉大学と共同で行い、事業形態は特約店方式です。


株式会社アトラス

『電場指紋照合法FSMによる大口自家発電施設の革新的保全・安全管理』

本技術は、北海油田の事故対策としてノルウェーで開発された非破壊検査 (物を壊さずに検査する) 技術です。この技術は、金属に発生する欠陥 (亀裂、錆、減肉等) による電気抵抗の変化からその欠陥を検出するもので、他の検査方法に比べ多くの長所があります。弊社はこの基本技術の改良と周辺技術の開発及びその実証を東電、原研、阪大の協力で行ってきました。そして、電力プラントや鋼構造物の欠陥を高精度に、遠隔で、連続的に (施設を停止することなく) 監視するシステムを作りました。その結果、第三者機関である日本機械学会規格として認定されました。また、原子力安全保安院においても審議中で、これが認められれば、大口自家発電施設をはじめ多くの分野での採用が期待されます。


株式会社アトラテックジャパン

『液晶バックライト用インバータ制御用LSIと1入力多出力型トランスの製造販売』

液晶テレビに代表される大面積液晶ディスプレーでは、蛍光灯を多数本並べたような光源 (冷陰極管バックライト) が使用され、このバックライトを全面均一に点灯させ、輝度調整するために専用のインバータを用います。弊社はインバータ向けに独自設計のトランスと制御用の専用LSIを開発しました。従来は、1本の光源ランプに1個のトランスを必要としたものを、4本に1個で済むようにし、しかも瞬時点灯、無段階輝度調整を可能としました。これによって、電源部分の小型化と約30%のコストダウンが可能になります。トランスは台湾企業にLSIは国内半導体企業に製造委託し、販売代理店も起用して設計・開発中心の事業形態とする計画です。


第4回『ベンチャーカップCHIBA』ビジネスプラン発表会 講評

審査委員代表
千葉産業人クラブ会長 伊藤 潔 氏

大変僣越ですが、審査委員を代表して講評を行いたいと思います。審査の時間が長びきまして申し訳ございません。それというのも、審査において各社の評価にほとんど差が無かったためです。それほど、5社それぞれが非常に特徴のある素晴らしいビジネスプランであったと思います。でも、勝ちは勝ちです。
各社とも自社の強み、優位性を強調しアピールできていたと思います。そういった主張は良いと思いますし、ビジネスを成功させる可能性も大いにあると思います。しかしながらビジネスを現実のものとして成功させるプロセスについてのプランが薄く、見えにくいように感じました。
発表企業の皆さんには是非、ビジネスプランとは何かとういうことを追求し、プラン実現のための年次目標や位置づけを明確にしてチャレンジしていく、そのような姿勢を示して欲しい。更には、経営者としての意欲もベースにビジネスプランを構築していただきたいということを心からご祈念申し上げて、わたくしの講評とさせていただきます。
本日はお忙しいところ、ご参加いただきまして、また、審査に時間がかかったにもかかわらず、皆さんお待ちいただきまして本当にありがとうございました。


○審査委員会委員
(2次審査及び発表会での審査を担当)
千葉産業人クラブ会長:伊藤 潔
プロサイド(株) 代表取締役社長 :椎名 堯慶
ベンチャークラブちば会長 :千葉 滋胤
前原事務所代表 :前原 東二
千葉大学工学部教授:吉川 明彦
(財)千葉市産業振興財団理事長:太田 宏

○準備委員会委員(1次審査及び2次審査を担当)
千葉産業人クラブ副理事長事務局長 :宇居 章
(株) ジャフコ ディベロップメント・キャピタル
投資本部 シニアマネージャー :大関 均
野村證券(株) 千葉支店支店長 :小竹 隆幸
オリックス・キャピタル (株) :佐野 和広
投資営業部グループリーダー
(株)千葉銀行 法人部長:中嶋 芳郎
トーマツベンチャーサポート (株) 執行役員:野崎 茂男
千葉大学共同研究推進センター :野崎 努
産学連携コーディネーター
(財) 千葉市産業振興財団副理事長 :浅井 法久
(氏名あいうえお順、敬称略)