会社概要
| 会社名 | Create Rita株式会社 |
|---|---|
| 代表取締役 | 富岡 英里子 |
| 所在地 | 千葉市中央区中央2丁目5-1 千葉中央ツインビル2号館7階CHIBA-LABO内 |
| 設立 | 2025年1月 |
| 資本金 | 50万円 |
| 社員数 | 2人(2026年2月時点) |
| 事業内容 | 人と街を豊かにする、お芝居事業 等 |
| SNS(Instagram) | https://www.instagram.com/createrita/ |
支援内容
- 活用した支援
- ・経営、技術(コーディネーター)相談
・クラウドファンディングセミナー 等
- 得られた効果
- ・千葉市トライアル発注認定
・『ベンチャー・カップCHIBA』SDGsビジネス賞受賞
・ICT活用等生産性生産性向上支援事業採択
- 課題
- ・創業計画・事業計画の策定
・経営に関する全体的な支援
- 解決策
- ・コーディネーターによるフェーズごとの伴走支援(無料)
・各種申請サポート(無料) 等
芝居で人と街を豊かに! 伴走支援で芽吹いた事業化のかたち
Create Rita株式会社は、「人と街を豊かにするお芝居事業」をコンセプトに、演劇で培った表現力を“地域の中で役立つ力”へと転換しながら事業を展開する、2025年1月に創業した企業です。代表取締役の富岡 英里子氏は10代の頃から演劇に携わってきましたが、俳優として活動を続ける一方で、「直接的に誰かの役に立っている実感を得にくい」という感覚を抱くようになったといいます。ライフステージの変化も重なり、「もっと人や街に近いところで、自分のスキルを活かせる場をつくりたい」と考えたことが、現在の事業の原点です。
社名に込めた「Rita」は、人の幸福を願う「利他」の精神から取り、演劇を「特別な人がやるもの」から「コミュニケーションや自己肯定感を育む学び」へと広げたいという願いが込められています。また、千葉の魅力を“物語”の力で外へ届け、街を巻き込みながら芝居の価値を届けたいという構想が、千葉市での創業と、千葉市産業振興財団(以下、財団という)の伴走支援を得て、ベンチャー・カップ受賞や補助金採択、千葉市トライアル発注認定へとつながり、事業は次のステージへ進み始めています。
-財団の支援を受けたキッカケを教えてください。
横浜出身で、これまで横浜や都内を中心に演劇活動を続けてきました。2023年の春にライフステージの変化をキッカケに初めて千葉市へ拠点を移しましたが、千葉市では知り合いもほとんどおらず、「これからどのように活動を続けていけばよいのか」を模索する状況でした。
そんな中、2023年10月に財団が主催するクラウドファンディングセミナーのチラシを目にしました。当時、クラウドファンディング自体には抵抗があったものの、「引っ越してきたのだから、まずは動いてみよう。行くだけ行ってみよう」という気持ちで参加を決めました。
セミナーでは個別相談の機会があり、千葉市の起業家支援施設であるCHIBA-LABOのスタッフ(幕張PLAY株式会社)の方に、千葉をロケ地にした映画制作がしたいという構想を話しました。演劇や映画という分野が、果たして事業として受け入れられるのかという不安もあった中で「いいと思います、やりましょう!」と、前向きな言葉をかけられたことが、大きな転機になりました。
一人でなんとなく考えていたことを、やってみたらいいと言ってもらえたことが、とても大きかったですね。気づいたら「やります」と答えていました。(笑)幕張PLAYさんが行っているクラウドファンディング伴走サポートを受けながら、クラウドファンディングにチャレンジすることを決めました。
その後、構想を具体化し、2024年2月に映画制作を目的とした45日間のクラウドファンディングを実施しました。俳優時代に発信していたSNSもほぼ止まっていた状態からの再スタートでしたが、毎日支援の呼びかけを行いました。最後の1週間、達成率が思うように伸びず、精神的に非常に負荷が高い日々を過ごしましたが、最終的に107人から111万1,000円の支援を得てプロジェクトを達成しました。
撮影が2024年6月に一段落した頃、次に勧められたのが『ベンチャー・カップCHIBA』への挑戦でした。当時はまだ個人として活動しており、起業や事業化を現実的に考え切れていなかったものの、「声をかけてもらったなら、チャレンジしてみよう」と応募を決意しました。
今までは間接的に財団の支援を受けていましたが、ここから本格的に財団のコーディネーターがつき、伴走支援が始まりました。演劇や映像という“表現活動”を事業計画や申請書といった“ビジネスの言葉”に一緒に落とし込んでいきました。クラウドファンディングもそうでしたが、自分のやりたいことをビジネスプランに落とし込んでいく作業は、自分一人の力では絶対に実現できなかったと思います。
クラウドファンディング達成、ベンチャー・カップ受賞で法人化!
ベンチャー・カップに挑戦するにあたり、まずは事業計画を作成する必要がありました。「芝居」という明確な軸はありましたが、それをどのように事業化するか、ということを徹底的に話し合い、「教育」「民間」「地域」「行政」をキーワードに、4つの事業を計画しました。
応募締切に向けて、申請書類を作成してコーディネーターにブラッシュアップしてもらう作業を繰り返し、書類審査を通過することができました。二次審査ではプレゼン審査があり、最終審査が11月に行われ、「SDGsビジネス賞」を受賞しました。受賞により、CHIBA-LABOを1年間無料で利用できる特典が得られたので、CHIBA-LABOの住所で登記をすることに決めました。
そして2025年1月、CreateRita株式会社として法人化を行いました。法人化したのは、個人事業主と法人では社会的な見られ方や取引先の広がりが変わると考えたためです。法人化して一年を迎えますが、個人事業主だった時代と仕事相手や仕事の規模が変化していることを実感しており、日々プレッシャーはありますが、引越してきた頃には想像ができないくらい、人生が前向きになっています。

クラウドファンディングのランディングページ
演劇が持つ力を社会に還元。見えてきた可能性
-法人化して一年が経ちますが、現在の事業内容を教えてください。
現在は、計画した4つの事業のうち、2つが事業化できています。一つは、演劇的な構成力を活かした「企業広告動画制作」で、革職人のプロモーションビデオ、ヘアカット専門店のホームページ用動画、ひきこもりピアサポーターの活動を物語として伝えるショートドラマなど、複数の案件を対応しています。当社が制作する映像の特徴は、単なる企業や商品の紹介に留まらず、背景や想いが伝わる“ストーリー仕立て”にあります。私の強みである演劇や脚本制作の実績を生かし、見た人の心に届くように構成を行っています。
もう一つは、コミュニケーションを目的にした「お芝居ワークショップ」です。「芝居でつながる千葉と人と」をテーマに、将来的な教室化を見据えつつ、現在はテストマーケティングとして、参加者の反応を見ながら内容を磨いています。
このワークショップの目的は、演技力の向上ではありません。芝居には「見る・聞く・感じる・伝える」といったコミュニケーションの根本が詰まっており、表現力や他者理解、自己肯定感を育てる力があります。海外では演劇を教育に取り入れる「ドラマケーション」の事例もあり、近年では日本でも一部で取り入れられ始めています。ダンスが“縁遠いもの”から必須科目になったように、演劇も「習い事の一つ」「授業の一つ」へと広がっていって欲しいと思っています。
ワークショップは月に1回開催しており、参加者は3歳から70歳までと幅広く、世代を越えた交流が生まれている点も特徴です。AIの進化などで、日常のコミュニケーションが希薄になりやすいと言われる今だからこそ、身体や感情を使って相手と向き合う体験が、地域の中で価値を持つのではないかという狙いがあります。
内容は固定化せず、参加者の年代や構成に合わせて毎回設計しています。年齢層が幅広い回では、家族をテーマに二チームに分かれて同じ題材に取り組み、結末だけを各チームで考えて発表する形式を採用したこともあります。別の回では、流れだけを用意し、セリフや設定を参加者に考えてもらい発表する形式にも挑戦しました。参加者ごとの“違い”を肯定的に受け止める設計を大切にしています。回数を重ねるごとに課題も見えてきたので、ニーズに合わせた形も検討しています。
また、クラウドファンディングで挑戦した映画製作も、事業化の可能性を秘めています。2024年に撮影を行ったのですが、単に「千葉で撮影した」だけでなく、千葉のアイデンティティである「大賀ハス」や「海岸」などの象徴的な景観や文化を物語の中に織り込み、“ストーリーを通して千葉の魅力を伝える”ことを狙いました。
千葉の風景を背景に撮影するには、行政の許可が必要不可欠でしたが、ロケ地に関する調整が進みやすく、地域の関係者が間に入ってつないでくれる場面もありました。作品づくりが地域の魅力発信にもつながるという魅力が共有されやすかったこと、そして「街を豊かにしたい」という方向性が地域の思いと重なりやすかったことが、協力を得られる下地になったと考えています。
都内などで活動していた頃は許可取りが大変で、担当が変わるたびに説明が必要になったり、たらい回しになったりすることもありました。行政側にとっても、市民を守る責任がある中で、素性の分からない個人に許可を出しづらい事情があることは理解しているのですが、撮影が頓挫してしまう局面もあったので、千葉市の対応は大変ありがたいと思っています。
行政や地域に向けた事業案として、「まちぐるみイベント」があるのですが、映画化を通じて第一歩をスタートできたのでは、と思っています。

お芝居ワークショップのチラシ
補助金、広報、トライアル発注認定…伴走支援で広がった事業
-伴走支援を受けて、具体的にどのような成果がありましたか?
伴走支援を受けていなかったら、今の自分はないと思います。それほど、コーディネーターを中心に、たくさんの人々に助けていただいています。具体的な成果としては、さまざまな補助金制度を教えてもらい、申請のサポートを受け、ICT活用等生産性向上支援事業や創業者向けの補助金などを活用できました。
補助金は、動画編集用ソフトや機材の導入や、ホームページ制作費などに使用しており、機材を整えることで、委託に頼りきらず自社で対応できる範囲が広がり、経費の最適化や提供価値の拡張にもつながっています。
広報面では、紹介を受けてラジオへ出演する機会も得ました。メディアへの出演は事業の信頼性の積み上げに直結し、次の取引やコラボレーションのきっかけにもなります。
さらに、令和7年度のトライアル発注認定事業に採択され、千葉市の職員研修としてワークショップが導入されることになりました。研修は16名規模で2回実施予定となっており、補佐講師1名体制で行います。ワークショップを行う前にクライアントにヒアリングを行い、目的や課題に合わせて脚本をカスタマイズする予定です。
コミュニケーションの活性化は、組織の生産性や心理的安全性にも影響します。一般的なカリキュラムに沿った研修とは異なる、演劇の要素を取り入れた体験型ワークショップが、ストレスを抱えやすい現代において「楽しみながら整う」取り組みとして価値を持ち得ると考えています。
創業初期は特に資金面の不安がつきまとい、必要な投資をどう捻出し、どう回収し、どう事業を拡大していくかが問われます。私は、伴走支援を受けたことで思いや勢いだけでなく、書類の書き方や見せ方、計画の立て方や活用できる制度など、起業家としての技術を身につけている実感があります。
まちぐるみでの千葉市の魅力発信と、演劇教育の普及へ
-今後の展開について差し支えない範囲で教えてください。
やりたいことはたくさんあるのですが、まずは三つの方向性で考えています。一つ目は、ストーリー性のある企業・団体向け動画制作をさらに広げることです。千葉で活動する企業や団体の魅力を“物語”として丁寧に立ち上げ、心に届く映像として届けたい。映像制作を通じて、相手の価値を伝える支援を強めていきます。
二つ目は、千葉の魅力発信につながる「千葉コンテンツ」の制作です。商工会で出会った同業者と、YouTubeやインスタグラム等で千葉の魅力を発信する企画も話し合っています。たとえば、モノレール沿線でサイコロを振って行き先を決め、そこで出会う魅力を発見していくような企画など、物語性のある発信で“千葉の伝え方”を変えていきたいですね。収益化は検討段階ですが、地域の魅力を外へ届ける挑戦として育てていく構想です。
三つ目は、ワークショップの浸透と、学校教育への導入です。将来的には教室・スタジオを持つことも視野に入れつつ、最終的な夢として「公立学校で演劇が取り入れられる」未来を描いています。部活動の地域移行など、教育現場が変化する中で、演劇がコミュニケーション教育の一手として入り込める可能性も感じており、時間をかけてでも少しずつ広げたいと考えています。
また、個人的には、「芝居を続けてきた人たちの居場所になりたい」という思いがあります。海外では演劇を仕事にする間口が広い一方、日本では演劇経験者がスキルを活かせる職業の選択肢が限られやすい現状があります。だからこそ、当社の事業が拡大すれば講師を育成し、演劇に関わってきた人が働ける場を提供できるのは、と思っています。
財団に期待することとしては、私の中でやってみたいことがたくさんある中で、地に足のついた現実的なアドバイスをもらうことです。困った時もそうでない時も、必要なタイミングで相談し、考えを整理して、次の一歩を具体化していきたいと思います。

-ご協力ありがとうございました。
取材協力:株式会社キウ(Kiu)




