会社概要
会社名 | 株式会社BreadLink |
---|---|
代表取締役 | 赤羽根 早苗 |
所在地 | 千葉市中央区新田町7-10 |
設立 | 2021年11月(法人化) ※創業は2019年11月 |
資本金 | 100万円 |
社員数 | 5人(2025年2月時点) |
事業内容 | パン、サンドイッチ、菓子類の製造・販売及び卸売 等 |
HP | https://bundbakery.com/ |
支援内容
- 活用した支援
- ・創業者研修
・経営、技術(コーディネーター)相談
・千葉市商業者創業支援事業補助金(千葉市) 等
- 得られた効果
- ・事業計画通りの順調な事業拡大
・創業2年目で法人化を実現
・経営の自立自走化に成功
- 課題
- ・創業・資金調達
・コロナ禍における販路拡大
・経営に関する全体的な支援
- 解決策
- ・創業者研修(有料)
・課題解決に最適な専門家の紹介(無料)
・コーディネーターによるフェーズごとの伴走支援(無料)
・各種申請サポート(無料) 等
長年の夢をカタチに!ベーカリー開業2年目で法人化を達成!
株式会社BreadLinkは、千葉駅から徒歩約10分の立地で「BundBakery(ブントベーカリー)」というベーカリーを運営しています。10坪の店内には常時約50種類のパンが販売されており、季節商品等を含めると取り扱い商品は100種類に上ります。
小学校の目の前という立地もあり、子どもから大人まで地域に愛される店として順調な成長を続け、開業2年目には法人化も行いました。
店主は、老舗製パン会社で17年のキャリアを積み、都内の人気パーラーで2年の修行を経て独立した赤羽根早苗さん。社会人になる前から、漠然とパン屋を開業したいと思っていたそうです。
-千葉市産業振興財団(以下、財団という)の支援を受けたキッカケを教えてください。
短大を卒業する前から、自分でずっと何かやりたいなと思っていました。母が手に職を持っていることもあり、自分が会社員で働き続けるイメージがあまり湧かなくて…定年の無い仕事の方が生涯稼げるだろうと考えました。手先を使うことが好きだったので、パン屋かケーキ屋かなと思い、老舗製パン会社に就職しました。製造スタッフとして入社して、最終的には製品開発の一部門の管理職になりました。入社して17年が経ち、そろそろ頃合いだろうと思い退職し、個人店舗運営の修行として都内の人気パーラーで2年間勤務しました。
いよいよ開業しようとなった時に、千葉市のホームページでさまざまな創業支援制度があることを知りました。特定創業支援事業の創業者研修を受ければ、千葉市商業者創業支援事業補助金の対象となると知り、同じ立場の仲間をつくるためにも研修を受けることを決めました。
全4回の研修を修了するのが2019年9月だったのですが、年内に開業しなければならない事情があったので、研修を受けながら融資を受けるための事業計画の作成やテナント探しなど、とにかくいろいろなことを同時並行で行っていきました。研修で作成した事業計画書以外にもたくさんの書類を作り、研修の合間を縫って講師に添削をしてもらいました。
テナント探しは、始めはインターネット検索でヒットした不動産会社に行ったのですが、紹介される物件は条件が合わなかったり、賃料が高すぎたりして難航していました。「もう自力で開拓しよう」と、千葉駅近くの道を歩き回っているうちに、小学校の前にちょうどよい家賃と広さの物件を見つけて、そのまま管理会社に行き内覧をして、すぐに申込みました。契約できたのが9月で、すべてがギリギリでした。(笑)
最終的に、2019年9月に創業者研修を修了し千葉市商業者創業支援事業補助金も採択され、なんとか同年の11月にオープンすることができました。行政に提出する書類や補助金の申請書類は店舗の内装を手掛けてくれた知人が詳しかったので、知人を頼りながら、自力で作成しました。
財団のコーディネーター支援を本格的に受け始めたのは、開業してからですね。最初は月に2回くらいコーディネーターが店舗に来てくれて、客層の分析や商品開発、売上を伸ばすための施策など、店舗運営に関する全体的なアドバイスを受けました。
修行をしたパーラーのオーナーから、自分以外の販売スタッフを確保した方がよいと言われており、オープン当初から人を雇っていました。人件費というプレッシャーもありましたが、コーディネーターの支援もあり開業1年目から順調に売上を伸ばすことができました。

BundBakery外観
コロナ禍をきっかけにWebマーケティングを強化し、開業2年目で法人化!
-売上が順調に拡大していったそうですが、今までで壁などはありましたか?
小さな壁はたくさんありますが、今までに2回転機がありました。一つ目は、開業して2年目で本格的なコロナ禍となり、外出の自粛期間が続いたことです。当店としては、これからもっとたくさんの人にお店を知ってもらいたいタイミングだったので、何かよい施策がないかコーディネーターに相談したところ、Webマーケティングの強化としてホームページの作成を行い、歩行者への周知として店舗前の看板制作を提案されました。
小規模事業者持続化補助金の活用ができるとアドバイスを受け、大体4か月くらいかけて申請書類の作成を進めていきました。当時は朝から晩までキッチンに立って店舗を運営していたので、書類作成に充てる時間が十分に確保できなかったのですが、コーディネーターがスケジュールの調整や細やかなアドバイスなど柔軟に対応していただき、とても助けていただきました。
2020年の秋ごろに申請を行い、無事に採択され、ホームページをご覧になったお客様もご来店されるようになりました。次第に常連さんも増え、「フランスパンの小さいサイズが欲しい」「何も入っていないアンパンの生地が欲しい」など、さまざまなリクエストが出てきました。できる範囲で応えていきお客様の反応のよかった商品を定番メニュー化するなど、店舗運営の好循環が生まれ、売上も伸びていきました。
2年目の確定申告を行うタイミングで、財団に紹介いただいた税理士から「売上的に見て、今後を見据えた選択肢として法人化もありですね。」という提案をされました。コーディネーターを交えていろいろ話をして、税務対策だけでなく、将来的な多店舗展開を視野に入れるとなると、財務面でも地盤をしっかりとしておいた方がよいということで、法人化を決意しました。
手続きに関しては、税理士から紹介された行政書士に書類作成や申請をお願いし、開業から丸2年が経った2021年11月に、法人化を行いました。
しかし、法人化の前後の時期に、それまでの無理が祟って体調を崩し入院してしまったんです。これが2回目の転機ですね。現在のように店舗運営が安定し、将来について考えられる余裕ができたのは、スタッフを増やし、彼女たちが店舗を支えてくれたからこそだと思っています。

持続化補助金を活用して制作したホームページ
少人数だからこそ、お互い様精神で支え合えるチームにしたい。
-今のスタッフはどのように募集されたのですか?
体調を崩したことで、本格的に人を増やさなければならないと思いました。店舗のInstagramでスタッフ募集の投稿をしたところ、ありがたいことに働きたいというご連絡をいただいたんです。現在、4人のスタッフがいるのですが、知人だったり、オープン時のスタッフの知り合いだったり、お客様だったり…いろいろな背景がありますが、共通しているのは、元々当店をよく知ってくれている人、ということでしょうか。皆さん長く続けていただいていて、もう3年くらいになります。
工場で働いている時は、人数も多く境遇もさまざまな中、決まったゴールに向かって働き方を統一していかなければならなかったんです。例えば子育てをしていてお迎えにいかなければいけないとか、子どもが発熱したとか、介護をしているとか、いろんな事情で抜けなければならない人が出てきても、なんとなく後ろめたい空気があるんですよね。ライン作業なので、一人抜けると効率が落ちてしまうため、仕方のない部分もあるのですが…。
個人的に、そういう環境はやりづらいなと感じていて、自分がつくる組織はみんなお互い様精神で、何かあった時は残ったスタッフでカバーできるようにしていきたいなと思っていました。人数が少ないからこそ、支え合えるようなチームが理想です。小さい組織でもやはりいろいろあって、体調を崩したり、お子さんが生まれたり…そういう時はシフトの変更や勤務時間を長くしてもらったりと、無理のない範囲でフォローし合っています。
スタッフ一人一人が柔軟に考え、行動することで、副次的効果として自主性が生まれ、「これをこうしたいです。」や「こんなことやりませんか。」など、積極的に店舗運営やメニューについて意見を出してくれるようになりました。私が直接やるよりもスタッフが自分自身で行った方がやる気にもつながるので、基本的に任せるようにしています。
パン生地の作成はまだ私一人で担当していますが、コッペパンのようなものを加工して新しい菓子パンにするとか、焼きあがったパンに何かを挟んで新商品をつくるなどはスタッフの仕事になっています。最近は、私が作った生地を成形したり、焼いたりというところまでお願いできるようになりました。
スタッフの成長ももちろんですが、お客様が楽しそうにパンを選んでいる姿や、「あのパン、美味しかったよ。」と言っていただいた時に、パン屋をオープンしてよかった、と感じます。あとは、自分で決めて行動に移せる、すぐに売上につながるというのも会社員時代には味わえなかった醍醐味ですね。

店舗での接客風景
多店舗展開や卸売り、EC販売やイベント出展。可能性は無限大。
-今後の展開について差し支えない範囲で教えてください。
まずは、今ある区画の中でどれだけ売上を伸ばしていけるか、ということですね。多店舗展開も視野にはありますが、初期投資も大きいので、まだ具体的には考えていません。5年間やってきて、爆発的に大行列ができる施策は、宝くじくらいの確率だと感じています。多少の季節変動はありますが、来店客数は一年を通じてそんなに変わらないんですよ。限られた来店客数の中で、客単価を上げるというのも施策の一つですが、やはり限界があります。
そんな中で手ごたえを感じているのが、BtoBの卸売り事業です。取引先はまだ一社ですが、卸売りは定期的に発注があり、金額もまとまった額になります。ここをできるだけ伸ばしていきたいと思っています。昨年あたりから、近隣のイベントに出展する機会があり、飲食店に限らない多種多様なネットワークが爆発的に増えました。そこで、パンの卸売りができますよという話を積極的にしていって、新規開拓に繋がればと考えています。
また、この地域で商売をさせていただいているので、地域貢献活動もしていきたいです。昨年、自治体が開催する夏祭りに参加したところ、地域の方にとても喜んでいただけたので、定期的に参加できればと思っています。先日は公民館から、「一般の方向けのパン教室を開催して欲しい」とお声がけをいただきました。まだ企画段階で、初めての取り組みですが、今から開催が楽しみです。
あとは、店舗に直接買いに来られない方に向けたパンのECサイトも展開していきたいです。始めはフードロス削減も兼ねて店舗の在庫を冷凍にして箱詰めにした商品を作る予定ですが、ゆくゆくはEC専用の商品開発なども行っていきたいと考えています。
-今後の展開について差し支えない範囲で教えてください。
コーディネーターには、法人化する前も後も一貫して身近な頼れる存在として、なんでも相談しています。自分一人だと自分の知識の幅でしか物事を考えられず、天井が限られているのですが、コーディネーターは経験がとても豊富で、他業種含めたくさんの企業の経営を見てきた中でアドバイスをしていただけるので、非常にありがたいです。
開業まもなくは月に2回の定期面談を行っていましたが、年数が経ち経営が安定していくことで面談の頻度が減っていき、ありがたいことに現在はほとんど面談をしなくても店舗を回せるようになりました。面談の内容も、経営のフェーズにより変わっていったように思います。最初は売上を伸ばすための施策、次に人材確保について、そして法人化するにあたり財務管理など…「企業体として末永く仕事ができるよう、一つずつしっかりと対策していきましょう。」とアドバイスをいただきました。コーディネーターは、現在は常連さんとしてお店に顔を出してくれています。(笑)
財団には、私のように開業から自走化までをワンストップで支援していただけると、これから開業を目指す方も安心できるのでは、と思います。これからも、何か困ったことがあればすぐに相談でき見守ってくれる、ある意味親のような存在でいて欲しいです。

店内には常時たくさんの種類のパンが並ぶ
-ご協力ありがとうございました。
取材協力:株式会社キウ(Kiu)